お茶席の会話にもタブーがあるのをご存知ですか?
お茶の席では、お正客と亭主 がそのお席を代表して会話を盛り上げます。
お正客には、実際のお茶会では『どこかの先生』が座る場合が多く、
その他のごく一般の人はお正客になる機会も滅多にないかもしれませんが、
もしなった場合、こういった話題は避けるとよいという決まりがあります。
(この写真では亭主は半東にも見えますが、説明上わかりやすく亭主ということにします)
「我が仏、隣の宝、婿舅、天下の軍、人の善悪」
(わがほとけ となりのたから むこしゅうと てんかのいくさ ひとのよしあし)
これは室町中期の歌人であり連歌師であった牡丹花肖柏(ぼたんかしょうはく)という人が、連歌の席でしゃべってはいけないとしたことの応用で、利休さんの愛弟子であった山上宗二が「山上宗二記」という書物に記したものです。
(武者小路千家家元後嗣 千宗屋 著「もしも利休があなたを招いたら」より)
「我が仏」・・・宗教
「隣の宝」・・・人の財産状況
「婿舅」・・・家のなかのごたごた
「天下の軍」・・・政治の話
「人の善悪」・・・人の悪口
お茶室に入るときには、武士は刀をおろし、
武士も平民もみな等しく頭を下げて「にじり口」という小さな入口から
茶室=異空間に入る、ということをしますね。
お茶室に入ると神聖な気持ちになります。
はるかな昔、戦国の世でも
そして430年経った現代の世でも共通して、
そういった神聖な場で
聞いていて微妙な話はしないという暗黙のルール。
非日常だけでなく
日常の中でも、心にとめておきたいものです。